「私はがんで死にたい」著者 小野寺時夫 2012年6月初版
この本の著者、小野寺時夫さんは、35年以上にわたって消化器癌の外科治療に携わった方です。その後、ホスピス医として2,500人以上の癌患者の最後に立ち会ってきた、と紹介の言葉に述べられていました。
私は、この本の内容の信憑性を検証するのではなく、自分が受けた印象や感想を書いていきたいと思います。
日本の癌治療はあまりにも手術至上主義
この医師は外科医であったにもかかわらず、手術に対して否定的であることが読み取れました。
末期の方の過ごし方として、なにがなんでも手術、というのは正しくないというのです。
直径1mmのがんにがん細胞が百万個もあるのですから、目に見える浸潤を全部切除し、その上周囲のリンパ節や脂肪組織などを徹底的に切除しても、散らばっているがん細胞を根こそぎ取り去ることは出来ない、と言うことでした。
この点は、幸か不幸か、たろ夫は本人は望んだけど手術は出来ませんと言われていたので、まあ、よかったのでしょうか。
「がん手術に名医はいない」
ざっくり言うと、治療成績の登録制度のない日本では個人の治療成績を客観的に示すデータがないので、「名医」と言われる医師は、本人がそのようにマスコミに仕向けているだけとのことでした。
そして、自分の診た患者にも、こんな風に長生きした人々もいるけれども、例外的だ、前医の誤診だと述べておられました。
患者さんに対する心情の豊かな医師こそが「名医」だ、と言う持論でした。
抗がん剤の功罪
癌が縮小しなくても、腫瘍マーカーが低下しなくても、抗がん剤は癌の増殖をある程度抑えていると主張する医師もいる、そう考えている患者さんも多い、しかしそうではない、と。
小野寺医師は、治療によって、著しいがんの縮小や腫瘍マーカーの低下が持続しない限り、また明らかな症状改善が持続しない限り、延命効果はないと考えています。
医師が抗がん剤治療を勧める理由は様々で、「過去に少し効いた患者さんを経験しているので、また効くことを期待して・・・」「患者さんの希望をなくさないために・・・」などでしょう。
効果はいずれにしろ、経営上できる限り治療を行うのを原則にしている病院もあります。そういう病院は死亡数日前まで抗がん剤治療を続けている場合も珍しくありません。抗がん剤の臨床研究のために行っている場合もあります。
はい、たろ夫の行く末もそんな感じですね。
今のところ、第2治療ですが、この抗がん剤に耐性が出来たら、先生も本人も第3治療に進む予定です。
小心者のたろ夫は、なにも抗がん剤を打たないという状況には耐えられないので、最後の最後まで抗がん剤投与を望むだろうと思います。
ただ、今までのところ背中の痛みがなくなったという点で、「明らかな症状改善が持続している」といえますので、そこは、抗がん剤のおかげかもしれません。
がんの縮小は軽度、腫瘍マーカー値に関してはCA19-9は少なすぎて意味不明。CEAは横ばい状態。これは微妙な結果です。
その2に続きます。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
↑よろしければクリックをお願いします。他の方の闘病ブログをご覧になれます。