とうとうこの日が来ました。主治医が、もともと入っていた予約を繰り上げて時間を作ってくださり、次の抗がん剤について説明してくださることになっていました。
たろ夫はかなり緊張、わたしも緊張、そして診察室に呼ばれました。
「今後考えることができる抗がん剤ですが、いくつかあるんですが。」とおっしゃりながら、白い紙を取り出して、書き始められました。
◎TS-1(内服薬) (5-FUと同種)
◎ジェムザール、タルセバ
◎オキサリプラチン再導入
タ、タルセバ、キターーーーー!!
ありえないタルセバが登場しました。
直前には、抗がん性抗生物質のドキソルビシンの方を強調していたので、それ以前に話していた、ありえない分子標的薬だと分かっているだろうかと思いながら、先生の話を聞いていました。
先生は、とても優しく丁寧に、一つ一つを5分くらいかけて、内服だとか、一日2回とか、毎週とか、治療のパターンを説明してくださいました。
でも、結局、前回、先生自ら認められていたように、S₋1と5₋FUは同じ成分であるから、はっきり言って期待できないし、3つ目のオキサリプラチン(エルプラット)は、痺れがひどいから絶対拒否だということは先生も把握されていたので、実質、2番目のジェムザール+タルセバしか選択肢はなかったのです。
たろ夫がわたしの方を向いて(何か発言しないのか)と言うような雰囲気でしたが、まさか先生の前で、「膵癌診療ガイドライン2013年版ではこうで、2016年版ではこうなっていますよね。タルセバはあり得ません。」などとは言えません。
ですから一言「タルセバは、分子標的薬ですね。」と、先生に発言しながら、『わたしは知っているよ、あれだよあれ。全然ダメなやつ』と、たろ夫にテレパシーを送りました。
先生は、「よく知っておられますね。」とおっしゃり、話を少し戻して、
「たろ夫さんは標準治療は終わりました。ですから、必ず抗がん剤を打たなければならないというわけではないんです。次に打つとすればですね、このタルセバですけども、まあ、100人に2人か3人効くかと言う感じなんですね。」
たろ夫、笑う。「100人に2人か3人ですか。」
ここまで言われれば、たろ夫も気づいたはず。全然ダメなやつだって。
そういうわけで、先生も、とても正直に、優しく話してくださいまして、どうしますか、とおっしゃるので、「今決めなくていいですよね、家族で話し合っていいですよね。」とわたしが先生に言いましたら、
たろ夫の方から、無治療を選びたいということを話し始めました。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
他の方の経験もとても参考になりますよ。
↓ぜひ行ってみてください。