7月24日火曜日、母きんたろうと、病院に、着替えや漢方薬などをもって見舞いに行きました。
病室について10分位したところに、受付で看護師さんにあいさつしていたからか、ちょうど神経内科の主治医が来られて検査結果などの話をしてくださいました。
①足に深部静脈血栓があることはある。しかし、これが心臓に飛んで、心臓に穴が開いて頭に飛んだわけではない。(心エコー、EUS 、経食道心エコー異常なし)
②動脈硬化からのものであれば、動脈の流れが分かるような固まりかたをするが、MRI画像では脳梗塞がいろんなところに点在しているから、そうではないし、心房細動もないので普通の脳梗塞でもない。(MRI、頸部エコー、心電図)
③ ①でも②でもないので、消去法により、腫瘍からくるトルーソー症候群と考える。
(①,②,③では、治療法が異なるので、判別は非常に重要)
今後の治療について
2択
A.今まで通り抗血液凝固経口薬リクシアナを飲む。( 深部静脈血栓や、いわゆる普通の脳梗塞であれば、リクシアナは効く。)しかし、今までこれを飲んでいたにもかかわらず脳こうそくを起こしたわけなので、今後もガン性の血液凝固の抑止力になるかどうかは疑問。
B.1日2回の皮下注射ヘパリンにする。(トルーソー症候群ではこの治療法をとるが、内出血を起こしやすい。特に消化器系の末期がんの患者さんの場合は黒い便が出たりする。また、ヘパリンは、量が少ないので、深部静脈血栓の方の効き目が弱くなる可能性がある。)
先生:どちらにしますか。
たろ夫:先生はどちらがいいと思いますか。
先生:今言った通りです。
たろ夫:素人のわたしは決められない。(素人がどうのこうの〜うだうだうだ...)
たろ娘:どっちもどっちだということ。では、今まで通りリクシアナで行きましょう。
先生:(大きくうなづきつつ)ではそういうことでいいですね。
たろ夫:はい。
たろ夫:先生、早く退院させてほしいんですが。
先生:明日でも、いつでもいいですよ。
たろ娘:(ぎょっ)先生!今退院したら、父は100%車の運転をすると思うんです。脳こうそくを起こしているのですから、運転してはいけないですよね。
先生:う~ん。自分の親父やったら、するなと言いますけどね。
たろ夫:(たろ娘に向かって)自分の人生は自分で決める!お前が勝手に口を出すな!お前たちの方がぶつけたりなんだり、下手くそだ。俺は一度もぶつけたことはない!そんなこと言ったら誰だって事故を起こす可能性はある!
(注:たろ娘は一応ゴールドカード。でも母譲りの超方向音痴ではある。)
たろ娘:先生、こうやって、父はぶつけられたことはあってもぶつけたことはないから、一度ぶつけたら運転をやめると言っているんです。ちょっとおかしいですよね。
それだけじゃなくて、話していると、短期記憶とか、長期記憶とかも、なんかおかしいんです。
たろ夫:(笑いながら先生に向かって)そんなことありませんよね~?
先生:いや、さっきからおかしいと思っていました。確かに私も事故を起こすかもしれない、たろ夫さんも起こすかもしれない、と。人を轢いてしまうということを考えておられないように感じるんですよね。
たろ夫:それは誰だって事故を起こすかもしれない。同じですよ。
たろ娘:同じじゃないよ。ビール一杯飲んで運転するようなもんだよ。
(先生うなずく)
たろ夫:全然違う!ビールは0か100だ!
たろ娘:お父さんはもうビールを飲んでいる状態なんよ。これからがんがよくなることはないんだから、ビールをどんどん飲んだ状態と同じになっていくんよ。程度が重くなっていくんよ。いつか必ず事故を起こすよ。
たろ夫:人を轢いてはいけない。人に迷惑かけてはいけない。自分で運転して、危ないなと思ったら、自分で辞める。A先生(腫瘍内科の主治医)も、今年いっぱいは大丈夫ですと、生きられますって言っていた!先生、わたしはあと半年くらいは生きられますよね!?
先生:今そんな話はしてないですよね。
たろ夫:とにかく、なるべく運転しないということで。
先生:なるべくしないと言うことは、運転しますと言っていることになりますよ。
たろ娘:先生、父はこんな風に、自分の基準で判断しようとするんですが、客観的に見て、既に危ないと思う症状がたくさんあるんです。こういうことがあったり、ああいうことがあったり…。(必死に説明。「運転してはいけない」と言って欲しい)
先生:視野に問題があるとか、片手がマヒして運動能力に問題があるということになれば、運転に支障があるということになりますが、たろ夫さんはそこまではありませんから…。警察に出す診断書も知ってますけど、それを書くことはできません。
退院は、こちらの方は、いつでもいいですから、話し合われて、都合のいい時を知らせてください。
がーーーーーーーーん
・・・その後、たろ夫が直接ナースステーションに行き、退院はあさって、7月26日木曜日になりました。
ナースステーションにまだ神経内科の先生がいらっしゃったので、わたしは食い下がって、
「父は家に帰ったらもっとオカシイんです。サインバルタを処方してもらえませんか。痛みやしびれに効きますよね。特に、プラチナ系の抗がん剤の痺れに。
父は直前までFOLFOXという大腸がん用のプラチナ系の抗がん剤を打っていたので、サインバルタが効くと思うんです。
でもそれは表向きであって、サインバルタはうつ病にも効くので、本当は自分で心療内科にかかるのがいいんですけど、そうしないので、うつ病の改善のためにもサインバルタを処方していただけないでしょうか。だめでもともとで。」
と、懇願しましたが、神経内科の先生は淡々と、
「リリカが処方されていましたよね?わたしはA先生とあまり連絡を取っていないんです。つまり...(事情に詳しくないということ)A先生の外来の時に相談されたらいいんじゃないですかね。神経内科は、がんは、扱わないんです。まあ、もう後1,2週間と言う患者さんの場合は、うちでお看取りするということもありますけど。」
「…わかりました。ご面倒おかけしました...。」
と言うことで、残念ながら、暴走列車ジャイアンたろ夫を止めることはできませんでした。この病院の、縦割り診療に対して、大変遺憾にも思いました。
無念です。
これからも猛暑は続きます。寿命が縮むでしょう。それはいいんです、もう。大事故を起こさないよう、祈るしかないです。
ひとつだけ、ほんの少し救われたのは、たろ夫の主張が、専門家の、神経内科の先生が聞いて、「おかしい」と判断されたことです。
あまりにも普通じゃない父親(& 依存心の塊の母親)を持つと、本当に何が普通なんだかわからなくなってしまうんです。でもやっぱり、たろ夫はオカシイ。トルーソー症候群と診断されてもなお、運転するのか...。
とにかく、わたしはわたしに出来る最善を尽くします。
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