そこに、これまでじっと黙って聞いておられたボス看護師さんが口を挟まれて、「緩和ケア病棟に受診なさるようなら、さっき一応お話をしてきて、来週の水曜日の午後1時半に、先生の診察の時間を押さえておきました。」と。
おお~、ボス看護師さん、手際がいいね。
たろ夫は、「緩和ケア受診」と聞くと、やっぱり、不安に感じたようでした。余命わずかな人が行くところだ、と言う多くの方と同じ固定概念があるのだと思います。
たろ夫が戸惑っていると、先生方が、「胸水が溜まって苦しくなったら、通院で抜いてもらえる、一回1リットル抜くのだ、週に1回かもしれないし、2週に1回かもしれない」そして、「必要であれば診断書を書いてもらって、もう一回腫瘍内科の主治医に話を持ってきてもらって、胸膜癒着術も出来る」とおっしゃいました。
どうのこうのとごねていたたろ夫も、主治医が、「大丈夫です、たろ夫さん、たろ夫さんの心配されているようなことにはなりませんので。安心して下さい。」と太鼓判を押してくださり、それならば、とたろ夫も説得されて、無事(?)緩和ケア外来を受診することになりました。
緩和ケアに移行させるのに、みなさま大変気を回してくださっているのを感じて、ありがたいと思いました。すごく巧みでした。
でも、なんというか、医師たちの腹の底に必死さをも感じました。まるで高額な羽毛布団でも売りつけようとしている集団みたいな感じ?
…とにかく、レールを敷かれている感じがしました。こんなに神経使って話してくださるなんて、なんだか今までの対応とのギャップがありすぎて。
たぶん、多くの方は「緩和ケア」を勧められると見捨てられたように感じるから、そんな風に気を遣ってくださっていただけなのでしょう。
緩和ケア外来受診に対してはわたしも全く異議はありません。って言うか、たろ夫はまだ自分の状況が呑み込めていない。頭が痛いわ。
この話し合いが1時間くらいかかり、その後、午後には酸素ボンベの業者さんが早速やってこられて、使い方の説明などを受け、飛行機にはボンベは持っていけないだの、外泊には主治医の許可証がいるだのと、たろ夫ならではの質問がたくさん出てきて、時間を取られ、今日は本当に疲れました。
一つだけ、気にかかったことは、胸水を抑えるため、或いは元気を出すために今後処方される「ステロイド」ですが、これは血液凝固を亢進するので、トルーソー症候群には逆効果なのです。
しかし、ステロイドによって、胸水を抑えられるのであれば、呼吸が楽だと考え、話し合いの時には何も口をはさみませんでした。
帰りの車の中でも母きんたろうと、「息苦しいよりは、頭がおかしくなった方がいいよね」という、どうしようもなく、リアルで悲しく切ない結論に至りました。
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