コロナ自粛のせいで多くの自営業者は倒産するしかないような経済危機に陥っているのは周知のとおりだ。社会では暴行事件が多発し、有名人のちょっとした失言もすぐに炎上するようになった。コロナ自粛でみんなストレスが溜まってきているのが大きな要因ではないかと思う。
だから、わたしも自分の精神衛生に気を付けようと思っていたところだった。かわいい動物の動画を見たり、素敵なお菓子や料理の動画を見たり。
4月29日、祝日の夜、母きんたろうからmyダーリンに電話がかかってきた。
本日、家族の一人が遠くの精神病院に入院した、手続きにまた明日行かなければならないので連れて行ってほしいとのことであった。
(詳細なやり取りはブログで書ける内容ではない。母きんたろうが運転していったわけではないことだけは確かである。)
4月30日木曜日、片道1時間半かかる病院まで、ダーリンの運転で往復した。関東平野のように平らな道が続いていて、こんなところがあったのかと驚きつつ、気分転換のドライブができた。
コロナのせいで病院は入り口にて厳戒態勢を敷いており、本人と面会することはできなかった。当面の衣服や本などを入れた衣装ケースをことづけ、わたしが「連帯保証人」の第2人目としてサインし、入院のための諸手続きを終えた。
その日の夜、また母きんたろうから今度はわたしに電話がかかってきた。
「(本人が)帰りたいと言っているらしい。担当医もこんなところにいたら余計ひどくなるから帰った方がいいと思うと言っている。」ということで、また翌日、5月1日にその病院に行くことになった。
ちなみにこの病院についてはその存在すら知らなかった。4月29日、いろいろあって、本人にとっても初めて連れてこられた場所である。
2日連続長距離ドライブである。運転が好きなダーリンは喜んでいたが。
5月1日金曜日。たまたま前方にパトカーが走っていたが、こちらは「必要危急」のドライブであるので何も後ろめたくはない。
「アグリロード」と書かれているサインが目に入り、「アグリー」(醜い)の意味ではないはずなのでどんな意味なんだろうねとダーリンにふと尋ねると「“農業”に決まってるじゃないか!」と突っ込まれ、あ~、「アグリカルチャー」ね~、そうだった~、と自分の想像力の乏しさを自嘲しつつ、田んぼしかないただの道に「アグリロード」とわざわざ名付ける必要があるのかよくわからんわ、とも思った。
そんなこんなで、帰りは車に4人、2日間だけ精神病院に入院していた家族を乗せて帰ってきた。
精神病院の隔離病棟というのはどういうものかを初めて詳しく聞けた。ここからが本題である。
4畳半のスペース。
部屋の3面はコンクリートである。クリーム色に塗られていたそうだ。そのうちの一面に、出入り用の鉄のドアがついている。最後の第4面は鉄格子で、しかし外の風景が見えるのではなく、病院内の廊下が見えるので看護師さんの往来は分かるということであった。
天井の照明には金格子が掛けてあり、触れられないようになっている。
床は畳ではない。そこに布団をひいて寝る。
トイレというきちんと仕切られた場所はなく、便を出すところが部屋の一部にあって、そこには監視カメラが設置されていて、全部見られる。自分でそれを流すことすらできない。連絡をして看護師さんに確認してもらい、外から操作してもらってやっと流すことができる。
そんなだから部屋には汚物のにおいが漂う。手も洗わせてもらえない。マジか・・・。
食事は日に3回、お箸ではなくて金属製やプラスチック製のスプーンつき。食事は普通においしかったと言っていた。
携帯電話の持ち込みなどもってのほかで、本や雑誌すら持ち込んではいけなかった。
身に着けてよいものは、上下の下着と、パジャマだけ。
寒いからもう少し服を着たいと言ったら、「室温を上げるから大丈夫」と言われた。
靴下も履いてはいけない。
とにかく自分や他の人に危害を加えることになりうるものは一切持ち込ませないことになっているようだ。
一般病棟では本を読むことは許可されているが、隔離病棟ではだめだったそうだ。
考えることも体によくないということなのだろうか。
もしも、普通の人間がそんな空間で生活したら、暇だとか言う次元を通り越して、頭がおかしくなってしまうのではないかと思った。
わたしは想像力が乏しいので、そんな空間に置かれたら、どうやって楽しく時間を過ごしたらいいか思いつかない。本がだめならせめてノートとペンくらいは欲しい。それもかなわないとなったら、本当に気が狂うかもしれない。
今回コロナ厳戒態勢中であったので、「隔離病棟」に入院になったのだが、これは二重の意味での「隔離」であった。
2週間という期間、「コロナ感染者ではないことを確認するため」一般の精神病患者の病棟とは違う「隔離病棟」に入院しなければならないことになっていた。
同時に、精神病院で言う「隔離病棟」とは、すごく病状が重い人が強制的に入れられるような場所なので、刑務所よりひどいところだったと本人は言っていた。
コロナ騒動がなければ一般病棟に入れていたのであるが、本人曰く「一般病棟の方からは叫び声とか聞こえてきてうるさかった。こっちは静かだった。」そうだ。
病院の去り際、本人が担当医に「貴重な経験ができました。」とお礼を言ったら、担当医は苦笑していたと言っていた。
本件に関する感想は、もう、ただただ「コロナ禍が我が家を直撃した」ということで終わらせてもらおうと思う。
STAY HOME、がんばろう!っていう気持ちでもないけど、起こった事象を受け入れて、淡々と生きていくわ…。
お題「#おうち時間」
(もう何回も同じ失敗をしていてですね、気分でアイコンを変えると、何だか失敗してカウントされないんです…)