弁護士には実に10人くらいには接触しました。最初に相談した弁護士から最後に相談した弁護士まで、4年もかかっていて、その間、医療裁判というものについてのわたしの理解や考え方も徐々に変わっていきましたし、いろいろと知識も増えていきましたので、相談内容も変わっていったと思います。
最初は「カルテ改ざん」されていることに憤慨して、これに向き合ってくれて受任してくれる弁護士さんを探していました。
まず一人目。「医療過誤」を前面に押し出して宣伝しておられ、実父が医師であるという弁護士。この方に接触したのは2016年1月で、父のすい臓がんが判明してほんの2か月くらいのことでした。カルテ開示をした数日後でした。
「カルテ改ざんされている」と具体的に示して言っても、「カルテ改ざんは刑事事件だ。民事とは別になる」と、改ざんされているかどうかを問題にせず、刑事事件としては扱うつもりはないという事で、その上で、まあ「医療過誤」ではあるので受任はできますよ、と。でも、まず本人が亡くなってから相談に来てください、と。
わたしは時間が経ってしまう前に記憶とか証拠とか集めて保存しなくていいのかなと思い、「今できることはありませんか?」と質問したら、「親孝行してあげたらよい」と言われ、(…弁護士の答えじゃないわ。人生相談に来たわけじゃないのよ…)と失望の内に帰りました。
「医療過誤」を標榜する弁護士の中にも2種類いて、「むやみにカルテ開示するものではない。改ざんされる恐れがある。その場合はまず弁護士に相談して下さい」という方もいれば、「相談に来る前にまず病院でカルテ開示をしてカルテコピーを持ってきてください。それを見て医療過誤かどうか判断します。」というタイプもいます。
一人目は後者で、カルテ改ざんする病院はあっても驚かない、あくまでもガチガチの証拠をもって立証できる(可能性のある)医療過誤について戦う、という方でした。
この当時は、私の中では「カルテ改ざん」はすごく重大な犯罪であるので、それを軽視する弁護士は金もうけ主義だと判断して、この弁護士に依頼したいとは思いませんでした。
でも、いわゆる医療の知識やエビデンスで戦う裁判ではこの弁護士は私の住んでいる地域近辺では「勝てる」弁護士だったと思います。
2人目は…と書いていくと大変長くなってしまいます。書くのが大変というよりも、あまり面白い話ではないため需要があるのだろうかという心配と、思い出すのもそれほど楽しい作業ではないため、なるべくさらっと書きます。
2件目、相談した弁護士は「人が一人亡くなったのだから慰謝料2700万は下らない」と言いました。へ~そんなに?と思ったのと、カルテ改ざんされているから証拠保全をしてほしいというと、「昔は病院がカルテを出さなかったから証拠保全をやっていたけど、今は出すから裁判所が証拠保全を認めないのだ」と言い張り、当時私は証拠保全によってカルテ改ざんが立証できるはずだと思い、どうしてもやってほしかったため、どうしたものかと思いこの法律事務所を後にしました。保留です。
3人目は「(慰謝料)2~300万くらいかな。カルテ改ざん、大切な問題なんですけど、立証するのは難しい。歯切れが悪くてごめんなさい」という答えでした。「医療過誤かどうか」という事はどこの法律事務所でも問題にはなりませんでした。膵癌の疑いでエコー検査して膵臓がんの見落とし、それを病院側が認めて「超音波読影報告」を出しているということで、慰謝料の金額の見通しには大きな隔たりがあるものの「勝つ」のは間違いないという感じでした。
しかし私は見落としよりも刑事事件にかかる部分の方がより問題であり患者また遺族を愚弄するものだと見なしていたため、証拠保全をしてくれる弁護士をさらに探し続けました。
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